Gibson Les Paul Standard(2003年製)



道具には二種類ある。
消耗品として使う道具と、
人生を共に歩む相棒になる道具だ。
私にとって、このGibson Les Paul Standardは間違いなく後者である。
2003年にアメリカ・ナッシュビル工場で製造されたレスポール。
シリアル番号「01693341」が、この一本だけの歴史を物語っている。
レスポールといえば、ロック史そのものだ。
ジミー・ペイジ、スラッシュ、ゲイリー・ムーア……。
数え切れないほどの名演が、この形のギターから生まれてきた。
私の個体は、落ち着いたブラウンのサンバースト。
派手さを競うギターではない。
年月を重ねるほどに味わいが深くなる、大人のレスポールだ。
このギターを手にすると、まず感じるのは「重さ」。
決して軽くはない。
しかし、その重量感こそがレスポールらしさであり、一本の木から伝わってくる振動や空気感は、数字では表現できない魅力がある。
音も同じだ。
低音は太く、高音は艶があり、一音一音に存在感がある。
派手に速く弾かなくても、一音を鳴らすだけで十分に語ってくれる。
私は仕事柄、経営者として数字や契約書に囲まれる毎日を送っている。
だからこそ、ギターを手にした時間だけは、肩書きを忘れ、一人の音楽好きに戻ることができる。
この一本は、演奏するためだけの道具ではない。
考えを整理し、自分自身と向き合う時間を与えてくれる存在でもある。
私の行動哲学に「磨いて克ち、整えて勝つ」という言葉がある。
それは道具にも通じる。
長く付き合う道具は、使い捨てではなく、磨き、手入れをし、共に歳を重ねるものだ。
新品の美しさよりも、共に過ごした時間が刻まれた風格に価値がある。
このレスポールも、これから先、傷が増え、金属はくすみ、木はさらに乾き、音も変化していくだろう。
それもまた、この一本だけの歴史になる。
きっと、死ぬまで手放すことはない。
私にとって、このGibson Les Paul Standardは、楽器ではなく、人生を共に歩む「愛機」である。