RIMOWA Original Cabin Emerald Green

道具には、使い切って終わるものと、人生の時間を一緒に刻んでいくものがある。

このRIMOWA Original Cabin Emerald Greenは、後者だ。

最初に惹かれたのは、この深いエメラルドグリーン。派手ではあるけれど、軽くはない。声高な主張ではなく、静かに存在感を放つ色だと思う。

RIMOWAといえば、アルミのリブ構造。縦に走るライン、金属の質感、手に取ったときの剛性感。ただ荷物を運ぶ箱ではなく、移動する人間の覚悟を入れる器のように感じている。

アルミだから、傷はつく。凹むこともあるだろう。でも、このスーツケースに関しては、それでいい。新品のまま飾っておくための道具ではないからだ。

出張に連れて行き、空港を歩き、ホテルの部屋に置き、会議へ向かい、また帰ってくる。その繰り返しのなかでついていく傷こそが、自分の移動の記録になっていく。

道具は、使って初めて人格を持つ。

私にとって良い道具とは、ただ高価なものではない。持った瞬間に背筋が伸びるもの。自分の基準を下げさせないもの。そして、日々の行動を少しだけ整えてくれるもの。

仕事も人生も、勢いだけでは長くは勝てない。磨いて、克ち、整えて、勝つ。その順番を崩さないためには、身の回りの道具にも、ほどよい緊張感が必要だと思っている。

黒のスーツに、エメラルドグリーンのスーツケース。少し目立つ。でも、社長が移動するなら、それくらいでちょうどいい。誰にも気づかれない道具より、持つ者に覚悟を思い出させてくれる道具のほうがいい。

旅でも、出張でも、仕事でも、勝負の前には必ず準備がある。何を持つか。何を選ぶか。何と長く付き合うか。その選択の積み重ねが、その人の美意識になっていくのだと思う。

このRIMOWAとは、長く付き合っていきたい。きれいなままではなく、傷を重ねながら。移動の数だけ、判断の数だけ、勝負の数だけ、表情を変えていくように。

これは、単なるスーツケースではない。

移動するための道具であり、自分を整えるための道具であり、そして——死ぬまで付き合える、私の相棒のひとつである。

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